【映画紹介】邦題に騙された!?実は良作ゾンビ映画だった『便座・オブ・ザ・デッド』(ネタバレなし)

ふざけたタイトルですね。

これは何かのゾンビ映画のパロディ笑いに振り切ったコメディに違いない!

平日の夜にシリアスでヘビーな映画は胃がもたれるから、これくらい気軽に観られる作品にしよう!

なんて思って観始めましたが、とんだ間違いでした。




クリスマスの夜、社内でパーティーが繰り広げられる中、修理工の男が女子トイレに入ってきた。工具箱にはなぜか大量の紙幣。こそこそしていると酔っ払った女子社員が二人入ってきた。あわてて個室に隠れドアの隙間からのぞくと、突然相手の喉を噛みちぎる女!驚いていると、次々とゾンビ化した社員たちがトイレになだれ込み、男に気づいたゾンビたちが扉に襲いかかる。修理工の男は人間のまま脱出することはできるのか!?


『便座・オブ・ザ・デッド』


こんなふざけたタイトルの原題は『STALLED』。



この作品に限らずだけど、日本版ポスターってやっぱり文字を載せすぎでは…。


英語が壊滅的にダメな私がネットの辞書でいくつか調べたところ、

「Stall(ストール)」の過去形、との事。

…なるほど。



で、ストールとは何だ?

・(乗り物・エンジンの)急停止,エンスト,(飛行機・帆船などの)失速

ふむ、エンストの「スト」はストールという事なのか、勉強になった。
でも、それだとこの映画のタイトルに合わない。


他の意味を見てみると「立ち往生」「時間稼ぎ」「足止め」などもある。
これならトイレの個室に閉じ込められた主人公の境遇そのままだ。

さらに「ブース」「個室」など、いわゆる『仕切られた場所』の意味もあるらしい。
試しに「シャワー室」を翻訳してみたら「shower stall」となった。


なるほど、トイレの「個室」で「立ち往生」。
なかなか洒落たタイトル、さすがに日本語では再現できないか…(笑)





物語冒頭、主人公である修理工が女子トイレに入ります。
「外に立ち入り禁止の看板出さなくて良いのか?」と気になった所にパーティーに浮かれたギャル2名が入ってきて、主人公は慌てて個室に隠れます。
いいですね、ゾンビ映画やサメ映画の第1被害者はパーティーピーポーでなければなりません(偏見)

ギャルの一人が発症し相手に噛みついた事でゾンビが2体誕生します。
そして個室に立て籠もる主人公が脱出できずにいる間に扉からワラワラとゾンビがトイレの中に入ってきて…。



こうして始まる惨劇!!
血しぶきが飛び交い頭を潰したり指をスパッと斬ったりグロ満載
低予算コメディ映画だと思って観始めたけど(失礼)、ゾンビの造形が凄くクオリティ高くて本格的!!

ですので、申し訳ありませんが、グロ耐性無い方にはオススメできません…。
耐性がある方にはかなりオススメです。


物語の95%はこの女子トイレだけで展開するいわゆる「ワンシチュエーション映画」です。
壮大なセットも、雄大なロケも、爽快なアクションも何もなく、ただただ主人公が個室の中の数少ないアイテムで脱出するために奮闘するのを見守るだけです。

とにかく何でも使う。工夫して使う。間違った使い方だけど使う。
この辺りは笑える作戦目白押しで「やっぱりコメディだったんだな」とちょっとホッとしたり(笑)

それにしても、トイレという狭小空間だけで80分も退屈させない力量は、もはや何と表現すれば良いのか…。


ただ、後半になるにしたがってシリアス度が跳ね上がります。
こんなに切なくなるゾンビ映画だったとは、騙された…。


平日の夜に観るにはやや胃もたれしますが、休前日の夜に観るにはオススメです!


あと、エンドロール後のちょっとのオマケもある意味切ないかな…(笑)






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