配信サイトで映画を観てる際、途中で観るのをやめたり早送りしたくなる映画はあります。
つまらない、退屈。グロテスクだった。そんな感じですよね。
でも、この作品は違います。
高すぎて止めます。高すぎて早送りします。
何を言ってるのかわからないかもしれませんが、理由はただ一つ、「高すぎるから」なんです。
映画『FALL』(2023年4月現在、U-NEXT独占配信)
公式サイトはコチラ
高さ600mある朽ちたテレビ塔の頂上まで登ろう、という信じられない2人の話し。
[あらすじ]
山でのフリークライミングの最中に夫・ダンを落下事故で亡くしたベッキー(グレイス・フルトン)は、悲しみから抜け出せず 1 年が経とうとしてい た。ある日、ベッキーを立ち直らせようと親友のハンター(ヴァージニア・ガードナー)が新たにクライミングの計画を立てる。今は使われていない地上600 mのモンスター級のテレビ塔をターゲットとして選んだ彼女たちは、老朽化で足場が不安定になった梯子を登り続け、なんとか頂上へと到達することに成功 する。そこでベッキーは夫の遺灰を空から撒くことで、彼を偲び、新たな 1 歩を踏み出す決意を示すが、それもつかの間、梯子が崩れ落ち、彼女たちに次々 と困難が襲いかかる!自分たちの持つ技術と知識をフル活用して、どうにかこの危機を抜け出そうとするが…
ポスターに描かれているように、塔のてっぺんでハシゴが崩れ落ちあの狭い足場に2人取り残されます。
高すぎて携帯の電波も届かない。滅多に人も通らない。
どうやって降りる!?というワンシチュエーション・サバイバル映画。
東京スカイツリーが634mですので、スカイツリーのてっぺんまで錆びたハシゴで登って行ったはいいけど降りられなくなった、というイメージですね。
見上げても先端が見えない。
つまらなくもなく退屈でもなく、グロテスクでもないけれど、狭い足場と見おろした景色が映った瞬間に一時停止してしまいます。早送りしてしまいます。
塔に登り始めてからの約1時間、手の平に汗をかき続け、足の裏がムズムズし続けます。
よく煽り文句で手に汗握るなんて言いますが、今作では煽り文句ではありません。
本当に手の平から汗がドバドバ出てきます。
お下品ですが、股間もヒュンとし続けます。約1時間し続けます。男性の皆さんなら間違い無くします。
予告編だけでもヒュンとします。
予告編でもバカにできません。高所恐怖症の方はお気を付け下さい。
いいですか?注意しましたからね?
それでは注意しつつご覧ください。
いかがだったでしょうか。
もう予告編だけでお腹いっぱいです。
私は映画を観ててゾンビもサメも猟奇的殺人鬼も巨大化した昆虫も特に怖くはないんです。
突然暗闇から大きな音と共に現れるゾンビはビクッとするけど、あれは怖いというより「ビックリした」だからな~。
あ、霊的ホラーは怖いです。「呪怨」とかダメ。
そんな私が最上級の恐怖を感じたのがこの映画でした。
生理的な恐怖というのは人間の本能として仕方ないですよね。
同じスタッフ陣の「海底47m」も海底に閉じ込められて「酸素がなくなる」という生理的な恐怖はありますが、やはり高さの方が直感的な恐怖をイメージしやすいのでしょう。
内容についてちょっとだけご紹介
ネタバレしない程度で内容に触れると、危険なことをやってみた系YouTuberのハンターという子がバズるためだけに高さ600mのテレビ塔に登ろうと思い立ち、友人のベッキーがそれに巻き込まれた形です。
あらすじにある通り、クライミング時の落下事故で亡くなった旦那の死を乗り越えるために600mの塔に登ろう、とハンターがベッキーを誘います。意味不明です。
旦那の遺灰を塔のてっぺんから巻いて気持ちの整理を付けよう!という説得に何故かベッキーがその気になります。
落下事故が起きた山(岩壁)を登りきって遺灰を巻いて気持ちの区切りを付けよう、なら分かりますが、縁もゆかりもないテレビ塔のてっぺんなんて場所で何の気持ちの整理ができるのでしょうか。意味不明です。
当ブログでもよく取り上げていますが、私はサメ映画が大好きです。
特に最初の被害者が必ず陽キャのパーティーピーポーというサメ映画定型フォーマットが大好き。
ただ、本来彼らにはサメに襲われ命を落としてしまうような落ち度はありません。
孤島のビーチで騒いだりクルーザーで沖に出てはしゃいだりと、バカンスでハメを外してしまっただけの人達です。
ですが、今作の2人は自分たちで行く必要のない塔のてっぺんに勝手に行って、勝手に降りられなくなってしまった自業自得な人達です。
ほんのちょっとだけネタバレしちゃいますが、ベッキーをビビらせる為に錆びだらけで朽ち果てているハシゴをガチャガチャ派手に揺らしてネジを緩ませ飛ばしてしまったハンターの行動を観てると同情は湧いてきません…。
こんなに楽しそうにはしゃいでる数分後にあんな事になるなんて…。
怖いけど、観てほしい
映画って「登場人物への共感」が没入感の鍵だと思いますが、今作は自業自得、自己責任という事で共感度はゼロです(笑)
ただ、それでも最後までハラハラしながら没入してしまったのは、やはり国籍や人種、年齢や性別を超えた人類共通の根源的な高所への恐怖というものの為でしょう。誰しもが経験した事がある事ですから。
この映画は「塔に登る」というのがテーマなので、タイトルが「TOWER」でも良さそう。
でも、それだと「塔に登った」という行為の印象が強くなり落下への恐怖は薄くなります。
「FALL」というタイトルだからこそ「落ちる恐怖」をタイトルで事前に植え付け、作品自体の深みを持たせる事に成功していると思います。
当ブログでもたびたび話題にしてますが、変な邦題を付けられなくて良かった(笑)
危険行為でスリルを楽しむYouTuberが地上600mの鉄塔に登ってみたら降りられなくなった件
みたいなタイトル付けられたらガッカリですからね(笑)
それはともかく、映画としての作りは見事です。
地上に居る間に様々に敷かれた伏線を、身動きが取れない塔の上で回収していくシナリオは圧巻でした。
高さの恐怖だけでなく、物語もしっかり楽しむ事ができます。
Blu-ray&DVD の発売日は2023年7月5日との事。
現時点ではU-NEXTでしか観られませんが、加入している方は1200ポイント損はしないと思います。
ぜひご覧ください!
モデルとなった電波塔
カリフォルニアでもっとも高い建造物である電波塔KXTV/KOVRタワー。
高さ2049フィート(625m)あるそうです。
作中の鉄塔に比べればしっかりした作りです、さすがに。
映画ナタリーの紹介記事によると、不法にタワーを登ってから、ウイングスーツを使って降下する者が後を絶たない場所になっているという事です。
テレビで「衝撃映像」なんて世界の動画を紹介する番組ありますけど、こういう人達なんですね。
鑑賞方法
私は映画を観る時はプロジェクターが多いです。
スクリーンは60インチ。
ただ、ウサギ小屋レベルの狭い部屋なのでスクリーンから椅子までの距離は1m無いほど近いです。
なので、視界のほとんどがスクリーンになってかなり大きな画面で見られます。
使ってるのはXGIMI Elfin
もう一つは去年の年末にクラウドファンディングを観てたら衝動買いしてしまったヘッドマウントディスプレイ。
すぐ目の前に大スクリーンがあって没入感がハンパないです。
アイドルのライブ映像をこれで観ますが、目の前で推しメンが躍動してくれます(笑)
今回、「臨場感を楽しむならコチラだろう」と思い立ち、よせば良いのにヘッドマウントディスプレイで鑑賞してしまいました…。
間違い無く映画館で観るよりも恐怖感がマシマシだったと思います。
プロジェクターか、小さいテレビで観れば良かった…。
余談
この結末がどうなったかは当然書きません。
落ちてしまったのか、生きて救助されたのか…。
仮に救助されたとしても、ヘリを飛ばした費用を請求されますね。
そして、こんなアホな事をやって世間を騒がせた2人をマスコミが大きく取り上げ世間は叩く事でしょう。
旦那が落下事故に遭いベッキーもその場に居た当事者であったのに、たった1年でまたこのような落下(死亡)の危険を冒した訳なので、容赦されない事でしょう。
今の家にも街にも職場にも居られないでしょうが、動画はアメリカ国内のみならず世界中どこでも観られる訳なので、外国に逃げても後ろ指をさされる生活を送る事になりそうです。
助かってもその後は地獄でしょうね…。
そして、アメリカ版ポスター。
冒頭の日本版ポスターと比べてみてください。
文字が乗ってない方が怖さが引き立ってると思いませんか…?
便座・オブ・ザ・デッド の記事の時にも書きましたが、日本版ポスターってやっぱり文字を乗せすぎでは…。ゴチャゴチャしすぎて主題を見失いますよね。
メイキング
どうやって撮影したんだろう?
と思ってメイキング映像を探しました。
CGでは無いのですね。
実際に山の上に20m程度の塔を作ってそこで撮影したそうです。
そこを上から撮影すれば遠景と相まって高さが表現できるという事ですね。
そして、実際に役者のお二人はスタントも使わず実際に空中でアクションを行っていたそう。
私が役者をやっていたら、即座にお断りする案件だ…。
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