【100kmウォーク】第5回 東京エクストリームウォーク100 体験記その3【51km~90km】

東京エクストリームウォーク100体験記その3です。

ぜひ以下の記事から通してお読みください。





50km(地図の右側、戸塚駅周辺)からの記録となります。






51km~60km


40km過ぎから感じ始めていた脚の痛み。
この辺りでは足首から下の感覚が鋭敏化しているのか痺れてるのか、着地の度に痛みがピリピリした電気のように走ります。
リタイアも覚悟するほどに…。

そんな時にふと気付いたのが、痛みが出やすい足首をテーピングしてガチガチに固定していた事。
もしや締め付け過ぎて血が巡ってないのかも…。
であれば、テーピングを剥がせば復活する可能性もある!
期待を胸に54km地点のチェックポイントを目指します。

暗くなってからは1人になるのが心細く、道を間違えたらどうしよう、という不安感もあって、前に歩いてる人に必死でついて行こうと頑張ります。


ヘッドライトを点けずに歩くとこんな暗さ。
向こうにチカチカ光ってるのを心の支えに頑張ります。


第3チェックポイントまでの道のりは歩道が狭くて、半分くらい側溝が蓋で塞がれているんだけど、これがガタガタで段差になってて歩きにくい…。

あと1km切ったくらいの所からは下り坂になってた気がしますが、歩きやすかったです。
そして着いたチェックポイント!

係の人が指さす方を見てみると…、坂を上ってます。

え!?

この身体の状態で…、上り!?

暗闇で写真は撮っていなかったので、Googleストリートビューでご紹介します。

まずはチェックポイントまでの道のり。

大会参加前にこのチェックポイントの事をチェックしていませんでした。
こんなに歩くだなんて知らなかったんです…。
どこまで行けば休めるの!?と拷問のようでした…。

それでは、ストリートビューの連続写真で私が苦しんだ距離をご覧下さい。

















この赤い屋根の建物周辺がチェックポイントとなっていました。
私が行った時は真っ暗で周囲の景色がまったく見えなかったので、今ようやく「こういう場所なんだ!」と知って驚いております。

ここで給食を手渡してくれた高校生?大学生?分からないけど若いスタッフの子達が凄く明るく元気でパワーを貰えました。

このちょっとした広場にテントが幾つか張られているので、空きスペースはさほどありません。
私は場所を探してこの建物の裏手に行き、ようやく地面に腰を降ろせました。


ここで貰ったのはメロンパンと魚肉ソーセージ。
この写真の時刻は20:13。
普段であれば夕飯を済ませている時間。
今日ここまで食べたのは朝6時にホテルでおにぎりとサンドイッチを1個ずつ、12時半頃にカレーパン1個、15時半頃におにぎり1個。
お腹は空いてるハズなのに、疲労から食欲が湧かない…。
でも、エネルギー補給しなければこの先に進めません。って、第2チェックポイントの時と同じ事を言ってますね。
メロンパンも口の中の水分をだいぶ奪われそうなのでドリンクと一緒に何とか流し込みます。
魚肉ソーセージは…、どこかで食べるようにリュックにしまいます。



そしてここで重要なのは脚のテービング
靴下を脱いでテープを剥がします。
圧迫から解放されて血が巡るのがよく分かる!

エアーサロンパスを剥がした箇所に振りかけたい!!
でも、周囲に人が居る所だとやはりスプレー独特の匂いで迷惑をかけるので裸足のまま茂みの奥の方に入ります。
まるでトイレに間に合わず用を足しにいってる様に見えたかもしれませんが、一応そういう良識はあるので大丈夫(笑)

そこからしばらくマッサージしたりケアをしてると、正面に座っている若者がかなり厚着をして寒さに震えながら体育座りで生気を失っている様子。
大丈夫だろうか…。


ここでの休憩予定は15分だったけど、40分ほど経過してしまいました。
コース復帰する前に園内のトイレにも寄りたい。
この場所からコースまでも遠い。
結局、26時間の中の1時間ほどをココで使ってしまいました。
これが終盤どう響いてくるか…。


ともかく、脚の戒めは解きました

頭文字Dで言えば、ハチロクのエンジン載せ替えて操作性で苦しんだ後にタコメーターを付けて解放されたようなものでしょうか(分かりにくい例え)

靴下も予備に履き替えて心機一転、後半戦に臨みます。
ちなみに、スタートで貰ったチカチカ光るバッジの光らせ方をここでスタッフさんに教えてもらいました。
これでここから先は私の光りが後ろに居る誰かの希望となる事でしょう(格好いい事を言ってみた)



さて、コースに復帰します。
解放された脚は順調。
朝の自分に余計な事をするなと叱ってやりたい。
フルマラソンの時はそれで丁度良い塩梅なんだけど、やはりマラソンと100kmウォークは違うという事が良く分かりました。

ちょうど同じタイミングで出てきた人達の群れの最後尾に紛れ込んで寂しい一人旅は回避。
順調、順調。

そんな順調な道のりもしばらく行った歩道橋の階段でツラい思いするんですが(笑)

60kmは保土ケ谷駅のあたり。
バスターミナルで帰宅客の方が並んでる横をゾロゾロと通過します。




チェックポイントで53分は手痛い。
でも、それ以外は足の痛みや暗闇でのモチベーション低下もありつつ12分~14分で収まってるから頑張った方かな。
もう破綻してはいるものの、計画では1kmあたり13分で歩く予定だったので。



江戸を出て最初に泊まる本陣(参勤交代の大名が宿泊する)が置かれた宿とのこと。
という事は、朝に江戸を出て普通に歩いてここに夕方辿り着く、という距離という事。
私はこれから夜中にその距離を歩く訳ですね(笑)




61km~70km


保土ケ谷駅を抜けたら横浜エリアに入るものと思っていたんだけど、平屋建てが多く建ち並ぶ住宅街の幹線道路なので薄暗い中をひたすら地味に歩いて横浜感はありません(失礼)。
この記事を書くにあたってGoogleストリートビューを見ながら思い出そうとしているのですが、暗かった事もあって景色がまったく記憶にない(笑)


私が知っている横浜の景色を思い出しながらまだかなぁ、なんて事を考えながら歩いていると、スタジアムが見えてきます。

実はこの時に勘違いをしておりまして。
まだ中華街も見えないし横浜エリアじゃないんだろう、野球場はもっと中華街の中ほど海の近くだった気がする…、という思い込みから、こちらは日産スタジアムかな、なんて思っておりました…。
お恥ずかしい。



そんな勘違いをしながら通り過ぎようとして、JR京浜東北線の高架下の横断歩道で信号待ちをしながら前屈みになって腿の裏やお尻を伸ばしていると、肩をポンポンと叩かれました。

何か落として後ろの人が拾ってくれたのだろうか…、と思って顔を上げると、なんと!
小学校時代からの友人が立っているではありませんか!
ビックリした!!



彼はみなとみらいの豪勢なマンションに住むという文字通り私とは住む世界が違う人ですが、有り難い事に友人付き合いをさせてもらっています。
マラソン仲間でもあります。

保土ケ谷のチェックポイントで投稿した私のFacebookを見て、そろそろかとコースを逆走しながら探してくれていたとの事。

どこで待ってるなんて連絡どころか、来てくれるという事すら聞いてなかったのでかなり驚いて、嬉しくて、涙出そうでした。

朝から誰とも話す事なく黙々とただただ歩き続けて14時間。
夜の闇の中をただただ歩き続ける寂しさが思いのほか堪えていたようです。


友人が来てくれた事で、画像に残らないはずだった私の死にかけてる様子が記録されました(笑)


人と話せる事が嬉しくて、スタートからここまでの様子とか出来事とか語っていたら、5km程度あっという間に過ぎていました。


夜景が綺麗です。疲れた心が癒やされます。




もはやポーズ取る気力もありません(笑)


YouTubeに投稿された参加者の方の映像を見るとこの辺りはイルミネーションが綺麗だったようです。
まったく記憶になく「え? これどこだ? コース上に有った?」と焦って調べてしまいましたが、ちゃんとコース上だったようです。
私がリア充どものイベントであるクリスマスに縁が無い男なので、無意識のうちに認識から外すような脳内の構造になっていたようです(笑)



ちょうど70km手前くらいにある第4チェックポイントへ到着。




ここでの目玉はカップ麺でしょう。
お湯待ちの行列が凄い。
横浜はちょうど海風で寒いポイントなので身体を中から温めるというのは良い事なんだけど、もう胃がカップ麺の重さに耐えられなそうなので断念しました…。

友人にお遣いを頼んで、すぐ近くにあるコンビニでドリンクもろもろを調達してきてもらいました。
頼んで無かったけど、梅干しが!!
さすがランナーだけあってよく分かってる!
朝から汗をかき続けて初めて塩分補給したかな?
かなり塩分が失われていたので、それはそれは強烈な刺激として身体に染み渡ります。

なんだか食べ物ではなく塩分とか糖分とか、成分だけで生きながらえている…(笑)


友人が準備してくれてたゼリー飲料を分けてもらい、次への活力にします。

もうこの頃は日付も変わった時間帯。
いくら休前日の夜とは言え、遅くまで付き合ってくれてありがとう!!

改めまして、奥様とお嬢様にもよろしくお伝えくださいませ。



出発前にやる事が一つ。
トイレを済ませた後、暗がりに行ってズボンの中に手を突っ込んでお股にワセリンを塗りたくります。
昼間は絶対にできない事。夜の闇も使い途があります(笑)

朝塗ったものの、50kmも足を動かして歩いているとやはり効果も失い、ヒリヒリと擦り傷になっている事が分かります。
もう手遅れかもしれませんが、気休めでも対処。

さて、ここからまた一人旅の始まりです。


友人のお陰で精神的には凄い軽やかだったものの、ペースはやはりボロボロですね…。
69kmがチェックポイントで休憩してたとこだけど、70kmはなんで30分もかかってるんだろう?
ちょうどチェックポイントの途中で距離が変わったからかな?




チェックポイントを出てすぐにある公園付近がかつての神奈川宿でした。
県名の由来にもなったとの事。
舟が多く、当時から港町として栄えていたのですね。






71km~80km



この辺りはもうね。

記憶が無いんです。

暗闇。

草木も眠る深夜2時。

それはもう睡魔との戦い


国道15号をひたすら北上する訳で、道幅が広くて歩きやすいとは思っていましたが、そんなアバウトな感想以外に覚えている事がない…。

YouTubeで参加者の方がアップされた動画を拝見したところ、「こんなとこ通った!?」と驚いてコースマップを確認してしまったほどです。

たとえば、JR鶴見線の国道駅とかですね。
線路の高架下をくぐって駅表示があればどうしたって印象に残るはずなのに…。
これはショックでした。

前に進む事しか考えられなかったのでしょう。視野狭窄だったかもしれませんねぇ。


ストリートビューを眺めてて思い出したのは京急鶴見駅近辺でスタッフさんから道を指示された所。
ここの景色は何故かよく覚えてます。
前の人が指示された所で曲がってない!?なんで奥に行くの!?呼び止めなきゃ!!
と焦ったら、手前が車道で奥の歩道に進んでいただけでした(笑)



その先には大きなOlympicがあって、おうちDepoというホームセンターが入ってて…、DIYも好きな私としては今度ここに来てみようか、と思って眺めた記憶があります。

この辺りは頭が冴えていたかな。
交差点に横断歩道がなく、地下道を渡る事になった階段の上り下りのツラさで…(笑)

しばらく歩いた先にはMEGAドンキ!!
ここは24時間営業だったのか?よく分かりませんがまだ開いてました。
もう記憶に残ってるのは明るく電気が点いてるお店だけ(笑)

その後、鶴見川を渡ったのが大体76kmくらい。実は何川なのか分かっていませんでした(笑)

次のチェックポイントは79km。
あともうすぐだと気持ちを奮い立たせます。

なのに、手元の時計では79kmを指してるのに、一向にチェックポイントが来ません。
遠くに見えてるチカチカがフッと見えなくなると「着いたか?」と安堵しますが、そこまで行ったら単に建物の関係で見えなくなっていただけだったり…。


チェックポイントがこのまま無いんじゃないか?
ゼッケンのチェックを受けないまま進んで大丈夫なのか?
休めないぞ!?


眠気のせいか思考回路がうまく動いていませんが、とにかくすごい焦ります。

歩道橋を上らせるためのスタッフさんが居たけど、真実を聞く勇気が無くて尋ねられず(笑)

そして歩道橋を下りたところに広場があり、参加者の人が大勢休んでます。
私もここで一休みしつつ、人から離れた所でエアーサロンパスかけて、ふと周りを見回したら、何故か皆さん広場の奥の方に進んでいきます。
何があるか分からないままついて行くと…、チェックポイントが!!

あぁ~、やっとか…、やっと辿り着いたか…。

ここにもカップ麺が用意されていましたが、当然ながら諦め…。
端の方の地面に座り靴を脱ぎます。
エネルギー補給は以前のチェックポイントで貰った魚肉ソーセージで。

時刻は3時半を回りました。というラジオDJの声が聞こえて来そうですが、ともかく眠気のピークです。
実際、横になって寝てそうな人がチラホラ見えます。
とはいえココで寝たら確実にゴールできません。

満を持して最終兵器を投入。


事前に購入してスタート地点から運んできた強強打破
途中のコンビニで買えるからわざわざ運ばなくても良かったけど!!
眠眠打破すら一度も飲んだ事はないので、さらに強そうなコレならかなり効くと思います!!


そして、ただ黙々と歩いてるのが眠気を誘うと思い音楽で眠気を覚ます作戦!!


私は普段から外で音楽を聴く習慣は無くここまで一切使ってなかったけど、ついに投入です。


ここで3時半という事は、24時間切りを目指すとすると残り5時間。
元気な頃なら20kmを5時間は可能だけど…、今の状態だと…。

まぁ、可能性があるなら目指してみるか!!と立ち上がって歩き始めます。


足の状態を考えれば、だいたい14分台はかなり良いのではないでしょうか。
ただ、記憶が無いので、歩きながら寝ていたのか、寝ながら歩いてたのか…。
ただ足を動かして歩くだけのマシーンになっていたような気がします(笑)



この辺りが川崎宿ですね。
多摩川の渡し場があったそうです。



81km~90km



ウォークマンに入っているのは1990年代のヒットソング集。アラフィフなもので。

シャッフル設定にしてたのでglobeとか浜崎あゆみとかアップテンポな曲が来ればいいな!と思ったら…。

藤井フミヤ『TRUE LOVE』が、それはそれは静かに始まりました…。

これはイカン…。
これは眠くなる…。

慌てて曲替えしました(笑)


そしていよいよ多摩川を渡ります。
遠くに見える景色が綺麗だったので写真を撮ろうと思いましたが、立ち止まったら終わりなので歩きながらの撮影です。






当然ブレブレです(笑)
夜景を歩いて撮るなんてとてもカメラが趣味だとは言えない暴挙ですが、この時は止まれなかったので…。

ちなみに、この写真のタイムスタンプを見たら4:13でした。

私の目に映る風景もこんな感じだったような気がします(笑)


橋を下りると真っ暗で閑静な住宅街の中を歩きます。
知らない人が外を見たら「こんな時間にゾロゾロと何事だ!?」と驚いた事でしょうね(笑)

そういえば、70km越えて顕著になりましたが、歩道のちょっとした座れる場所でうずくまって膝を抱えてうなだれている人をよく見かけるようになりました。
私もそうできたらどんなに楽か…。

コチラも余裕は無いので大丈夫かと声はかけませんが、何とか頑張ってゴールしてもらいたいものです。
そして、職質されないようにしてほしいものです(笑)


83kmくらいの京急蒲田駅あたりで空が白んできたかな。
駅のホームも灯りが点いて始発が動きだそうとしている頃でしょうか。

そろそろ街が動きだそうとしています。

明るくなると眠気も収まり、多少の元気は戻り、次のチェックポイントを目指します。


周囲に居た参加者の方もどんどん脱落していったのか、私を含めて3人での旅路です。
まぁ、後ろをついて行ってるだけですが…。


89kmチェックポイントの手前、曲がる箇所を間違えないようにスタッフさんが立ってくれています。
遅くからか早くからか分かりませんが、ありがとうございます。

「この道をどれくらいか分かりませんが行くとチェックポイントです」

という肝心な情報が抜け落ちたお言葉を貰いました(笑)
とは言え、目前なのは分かってるし、もう夜が明けて明るいから気楽な感じで歩けばすぐにチェックポイントに着きました。

残り10km。
残り距離の少なさイコール、ここまで積み上げてきた距離のダメージ。

もう多少座ったところで回復は望めません。

この時点で累計タイムは21時間50分ほど。
24時間切りを目指すとすると残り11kmで2時間。
元気な時でも難しい…。
私がエントリーした部は26時間制限なのでまだ4時間ありますが、気持ち的には24時間切りしたい!
可能性に賭けてみるか!!

ここでは鍼灸サービスをしてくれていたので、これをしてもらえれば残り10km楽になったかもしれないけど、この時の私は待ち時間が惜しくて先に進む選択をしました。
施術を受けてた方がもっと早くゴールできたかな…。

歴史のif(格好いい言い方してみた)ですね、どうだったのか分かりませんが。


14分前後で結構頑張ったのではないでしょうか。












ゴールまで辿り着けなかった…。
長くなったのでまたまたこの辺で。
もう少しだけお付き合いください。

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